頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

朦朧

寒い
体が動かない
理性よ
私を救いたまえ
理性的になると
一瞬だが、その間だけ
痛みが引く
寒さも消える
理性には、人間らしさがないからである

感情が落ち着いてくれるよう
私はスープを飲んでやった
感情が取り乱さないよう
私が幸せにしてやらねばならない
急に手に入れた力というものは
メモしなければ失われるのです

(ミッションちゃんの大冒険)

 

 

夜中に目が覚めると、蛍光灯が天井から落ちていた。何処から入って来たのか知らないが、黒猫が部屋中を駆け回り、窓から飛び降りる。また自分の知らない時に面倒な事が起こった。僕はそう思った。

九つの珈琲を九匹のブタが運んできた。彼らは僕を囲んで散々罵った。コーヒー、タバコ、節操のない食事、痛みきった臓物の香り……悲惨な口臭、そして口臭消し。人間臭い!!彼らの一人が絶叫した。僕は悲しかった。

シルクハットにフロックコート姿の髭を生やした中年男性、えび茶色の袴を着た女学生、同じく袴姿に学生帽を被りカラコロと下駄を鳴らして歩く書生、ハイカラな白いドレスを身にまとったどこかの貴婦人。街は明治時代のようだった。隣には幼いカート・コバーンがいた。ここは何処なのだろうか?一体何処へ向かえばいいのだろうか?彼の埃臭いネルシャツを眺めながら、僕は思った。

公園外れの森林。足元には雑草やら落ち葉、枯れ枝などがぎっしりと積もっており、そこへ木漏れ日がさらに複雑な模様を加えている。隣にいた何者かが、綺麗なものと美しいものの違いを尋ねてきた。僕はふとその場にしゃがみこんで、地面に生えている雑草を引っこ抜いた。そしてその土まみれの根っこを指して、これが美しいものだ、と確信をもって答えた。理由は僕にもわからない。彼は満足したのだろうか?

電気屋で馬に関する質問をされた。それも言葉ではなく、感覚的で形而上のものだった。その問いかけにうまく答えると、電気屋に道場の加入を促された。最初からそれが目的だったのだ。申し出を断ると、相手の態度がまっさかさまに急変した。僕は呆れて店を出たが、終日不愉快な気分だった。

友人に連れられて向かった先は、スターリンという豚料理屋だった。友人は豚しゃぶを勝手に頼み、席を立つ。どういうつもりか尋ねると、彼はここの店の店員で、どうやら自分は彼の客引きのノルマに手伝わされたらしい。一人で食べる鍋料理は、ここまで不味いものかと僕は驚いた。

敗北者?違うね。あんたは戦うのをやめたただの野良犬。同じ土俵に立ったと思っているのか……?虚勢で彩られた顔面を鏡で見てみろよ。恐ろしく醜いぞ、間抜けだし。そしてこいつは自分の恐怖と孤独を自分の肥やしにしてまた虚栄とナルシズム。いい加減疲れないのかな?
(疲れたって、あんたたちが……)
これだ コレ!
 これだ
これだよ
 またこれだ
実のところは何にも知らないんだ。お前だって何を知ってるんだ?何をどれだけどのように知ったら、何を知った事になって、結局お前は何が知りたいんだ?そんなの誰に分かる?みんな、何とか必死に伝えようとしてるんだよ。もうなにがなんであるかなんてそんな事は誰にも分からない。僕やお前が何をするために生まれてきたのか、お前には説明できるのか?みんなが一緒くたになって襲ってくるから、僕には戦うものが多すぎて、そして、こんな事を言われても結局混乱するだけで、漠然としたイライラがみえたら、それが漠然だったんだよ!!何処にも何も存在しないし、誰にも何にも分かりはしないんだ、お前だって、何を知ってるんだよ!
くっだらない幼児の言葉遊びと何にも変わらないじゃないか
ああ、もういっそ……世界なんて転覆すりゃいいんだ……

(夜明けの口笛吹き)

 

 

もう六年くらいネット上でヲチしてるひとがいて、
古風な文学青年、というかそろそろ40超えてるのだが、とある明治の文豪をひたすら崇拝し、自らをその後継者と信じ、陳腐としかいいようのない文学論を書き続け、現代の小説を憎むこと甚だしく、というか実のところ戦後の小説はおそらく彼にはほとんど理解不能のようなのだが、ともかく現代社会と文化の堕落を嘆きつつ、でもテレビは大好きで、倉庫のバイトで日々の生活費を稼ぎ、たまに風邪をひくと嗚呼自分も啄木のように肺病で死ぬかもしれん、と布団の中で一人悲愴感をつのらせ、たまに女性から優しい言葉をかけられると彼女は自分と結婚したがっているのだと思い込み、とまあこう書くとかわいらしいのだけど、彼が掲示板やblogに書き続ける妙に意気軒高な文章を読んでいるとまず苦笑が、次いで嫌悪感と恐怖がじんわりとこみあげてきて、というのも彼はおそらく思春期の頃に設定した小さな輪の上をもう数十年ぐるぐると廻り続けていて、その徹底した他者の欠如と無知は動かしがたく、今後よほどの事がない限りその輪の中で彼は老いていくのだろうと考えざるをえないが、それをずっと観察し続けている自分の後ろにも、おそらく同じような陥穽がぽっかりと口を開けているに違いないと思うと、悲鳴をあげたくなるほど、恐ろしい。

(https://anond.hatelabo.jp/20070304171404)