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生物は環境に適応して、適応した遺伝子を持つものは生き延びられる。
そうじゃない生物は淘汰される。
環境。
すでにそこにある、出来上がった環境に適応するよう、生物は、自分は動く。
自分に適応するよう環境を作り変えるのではなく。
いや、でも、変化は、双方向的だよ。
自分が適応した結果、結果的に環境が変化したら、それは環境を作り変えたとも言える。
僕はちっとも物の固有名詞を知らない。
鳥の名前も、花の名前も。
よく見かけ、見かけるたびに可愛くて好きだと思っていた花がかすみ草という名前だということを、今日は学んだ。
好きな曲の名前と同じだと思った。
この写真はつつじだけど。
昼見るつつじは派手だし旺盛で、近寄りがたい。
夜見るつつじは不気味で好きだ。
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日付が変わる前後に布団に包まり、昼過ぎまで寝入る、風を部屋の中に取り込みながら寝ていて、人々の活動の音で目が覚める、足が早まって安売りされていた果物とパン、インターネットの情報を摂取する、昼寝をして、夕方過ぎまで眠る、意識は洗いたてのようにさっぱりして、真新しくて、新鮮。
初夏の夜は日が高い。19時の空は黄昏を残した群青の層になって、雲は、流れていく意識のよう。木のさざめく音や、葉の影が揺れる様子、川の流れる水音、川面を光ってちらつく夕方の面影、5月の風。
歩きながらいろいろ考えていて、全部忘れてしまった。
なにも考えないことについて考えていた。
意識や思考を放棄する方法とそのこつについて。
意識を外側に向ける。
内側が外側になる。
内と外が一体になる。
視界を通して見るもの、鼓膜を通して聞くもの、鼻腔を通して香るもの、皮膚を通して触るもの、それらに焦点を絞る。
思考に絞った焦点をぼやけさせる。
感覚が明瞭になる。