頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

おめでとう

すごく春って感じの天気だった。

バイトの帰りに近場の公園や大通りをたらたらと歩いた。ぼんやりしていて暖かで、のどかすぎて気絶しそうだ。

公園を挟んで、印刷会社がいくつも建っている通り。日陰になったゆるやかな上り坂を歩いていく。ガードレールの反対側からなにか匂いがする。冷たく甘く、清廉な匂い。水色という概念を香りにするとこういう匂いになるだろうか。水色と、それに少し桃色。水色と桃色の匂いがする、その言葉の並びを、何度か反芻。

空が淡く霞んで、天辺には白い月が見える。10年も昔に書いた、一編の詩を思い出す。二羽のカラスと、舟と、湖、午睡の気配に、煙、白昼の月を切り取った詩。

見上げるほど高くそびえた工事現場の、クレーンの首々、歩道の真ん中をまさに今横断していく、太ったスズメ。スーパーの店先に赤く光る、苺の山。ベビーカーを引く西洋人の男が、覆いの中から伸びてくる、丸い子供の手にハイタッチをする。すっかり踏みしだかれて、乾いた汁で汚れた椿の花のくすみ、濁り、一面に。

意識は、昨夜から続く頭痛で朦朧。今朝は鉛のような重い覚醒の後で、夢の体を、繊維ごと引きずって起きた。

先月の終わり配信されたシロップの無観客ライブ、1日目の、生きたいよ、I・M・N、ラファータ、向日葵、理想的なスピードで、の流れが、ぬるい気流に乗って、頭の中で、グルグルし続ける。あー。