頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

風邪の諸症状を浴びてぼーっとしてたらもう6月になった、月の頭から今日まで、こんこんと寝る、ちょっと起きて飯食う、寝るの繰り返し。発熱がなく汗をあまりかかなかったので治りが遅い。僕の体はたくさん汗をかいたあと、汗が引くのに合わせて症状がおさまっていく。ていう体感と傾向。もっと厚着して寝たらよかったな、そこまで頭が回らなかった。どうでもよかった。別にどうなっても。
朝起きると喉を保護する粘膜が失われていると、すぐにわかった。「私の風邪は喉から!」気管に息が当たるのが痛い。いや、吸いも吐きもしなくても、空気が触れる、それだけで常に、乾燥して敏感になった傷口を刺激物が撫でる。かのように痛む。次にくしゃみ。咳。臓器の奥からえずいて出る咳。鼻炎。皮膚を焼いて溶かす硫酸のような水洟。吐き気。立ちくらみ。頭痛。無気力。細切れな眠り。わかりやすく引いたもんだ。でもこんなに症状ひでえのは久々。深い眠りがなく、頭はいつも半覚醒状態。朦朧とする。眠りの浅瀬で、脳の片端が働き続けているのを感じる。高速でなにかを処理している。なんだ?過去の会話、過去の記憶。人のイメージ、人の群れの?声、会話、想念、なんらかの概念、無数のシルエット、無数の場面設定。それらがハレーションを起こす。叫び声、悲鳴が連想される。少し背を起こす。電気のついていない昼間の暗がり。開けたままのドアの向こう、ああ、寝る前に読んだ漫画の影響だ、背の高い、黒髪の女の姿。首は扉より高い位置にあって、顔も表情もわからない。腕。スカートから覗く足。長い髪。暗いドアの向こう。脅かしに来てくれたのか、僕を構ってくれる?殺し合いする?一緒に死のうか?また眠り。浅い眠り。イヤホン。カーテン。枕。綿のカバーの音と手触り。不快感。不快感を感じている。生命機関が機能しているから。やっぱりおかしいな。おかしいよ、肉体があるのは。なんだこりゃ。肉体!自分の意志と関係なく活動し続ける精緻な動物。僕がこの動物の主導権を握ってる?意味わかんねえ。精神、霊の部分は、所詮、肉体の付属品、副産物だ、そうなのか?精神!なんてとるにたらないんだ、なぜある?なぜ意識は。不思議だ、愉快だね。面白いね。

ずいぶん回復したので、日常が通常のルーティンにすげかわった。引きこもってると一日の時間の流れは社会性を即座に失う。24時間制じゃなくなる。ていうか数字の概念が消える。
母に思ってた色々を恨みがましく書いたことで落ち込んでいた。あしざまにいえばスッキリする。感情へのお見舞いだ。感情を解放できる。手放せる。ぶつけどころを欲してた。八つ当たりとわかっていても。いいんだ。抑圧するよりマシだ。見ないふりをするよりずっといい。それがないように振る舞うより。気丈に我慢強く笑って誤魔化すより何倍もマシだ。それで忘れた気になれたか、残念、それは澱になっていつか溢れるツケだったんでした。誤魔化しはうんざりだ。もう僕に通用しない。なにも誤魔化すことはできない。

風邪を引く前、5月最後に出勤した日、休憩時間の雑談で、死の話がされているのを聞いた、いつもの儀式的な死、社会的に、集団の一部として扱われる死の話じゃない!ひとつの個人の生死の話だ、鼓動が早くなった、命について語ってる!一生命としての自覚を持った話だ!人生、その道程、その終わりについて、それを聞くのはとても好きだ、好き好き好き、もっと聞きたいな、もっと話してほしいな、もっと知りたいな、不思議だよね!話はでもすぐに社会的な死の話になった。例の拡大自殺。殺人の話に。どのみち人間いつかは死ぬそこで死ぬのがその人の運命だったはじめから決まったさだめだったそのために生きてたんだ殺されるために。死んだ成人男性はエリート人材だったから貴重な価値ある有能な日本人が失われて惜しまれる。とかなんとか。好き放題だな君達。そりゃそうだ。単なる話のタネだ。単なる話のタネ。単なる話のタネだ。単なる話のタネだよ。単なる話のタネ。単なる話のタネ。単なる話のタネだ。気分が腐って思考が止まった。なにか言いたいことがあるんだな?あそこへ割って入っていやそれはおかしいよ、そう言いたかったか?僕はそう思わないよって?ああ、そう、じゃその場でそうしろよ、すればよかったんだ、でもしなかった、そしてそのとき晴らせなかった憂さをここで晴らすんだ、うじうじうじうじ、笑えるよ、沈黙は金?薄汚い、けがれた金だ。僕はこういう奴、対立を避ける、保身に走る、逃げ隠れが得意な、卑怯で、臆病で、陰険で傲慢な根暗。てか割って入るわけないよ。あほか、おまえファミレスの会話に割り込むのか、電車内で出くわした会話に?プライベートな雑談だ、僕はその場にいた、でもいなかった、その輪の中には。輪の中?そう、公共の空間と個人的な領域。その境界。境界線の外側に僕はいる、いつも、そう感じる、どこからが踏み込んでいい線?どこまでが……慎重になる、慎重なのに迂闊だ。逆だ。迂闊だから慎重であるよう意識する。こんなの書いてワールドワイドに公開するのが迂闊以外のなんだって?え?ああ、こういうときは呪文を唱えるに限るよな、そうだった、暗唱して?この物語はフィクションです、実在する人物や団体とは一切関係がありません。単なる話のタネだ。

僕は他人に嫌悪感を覚えるとまずその中身を点検するより前に、嫌悪感を覚えた自分自身を嫌悪する自己嫌悪へと、なりふりかまわず真っ先に走る傾向がある。傾向というか習性。癖。躾の賜物。馴染みのある自己懲罰。あとはお決まりの流れ。いかに自分が下等で下品で汚いかを一生懸命自分に言い聞かせる。暗示。洗脳。呪い。あのさ、それをやってやりたかったのは、発端になった嫌悪を引き起こした対象に対してなんだろ?知ってる。でも向けたくないんだな?他人に悪意を。それも知ってる。じゃあなぜ他人に悪意を向けたくないのか?反撃されるのが怖いからだろ。ひひひひ。だから矛先を自分に向ける。反撃されても構わないとたかをくくって、よどみないまっすぐな悪意を自分に。敵意を。害意を。嘲笑と侮蔑を。醜いよ。醜い?知ってる。自己嫌悪する自分に自己嫌悪するなよ、マジで不毛だぞ。自分で地獄を作ってるこの人。心のこもった手作りの地獄です。燃やし尽くそう。僕の一部だ。荼毘にふせ。供養しろ。弔おう。手放そう。