頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

パレード

よく晴れた朝で5月の太陽が青い空に差していた。民家の柵の上にカラスが一羽とまっていてそれは踏切の信号待ちの間だった。民家と線路は隣り合っていて信号の赤い点滅と規則的な警戒音と、口を開いたまま不自然に辺りを見回すカラスだった。黒く艶のあるくちばしだった。胸の毛の一本一本の毛羽立ちがくっきりとわかる距離だった。カラスは落ち着かなげにひどく入念に鳴いて、電車は通過した。
同じ日の同じ朝、猫が通りを真横に走り去っていった。
時刻は午後6時44分になりまして、僕は青い街と高いビルと風俗の看板と路地裏の小声を映して移動するカメラだ。人々は宙に舞う靴とおしゃべりの残滓になってパレードの行進を続けた。それは葬列だったかもしれない。僕も参列した。目的の場所を目指してたどり着くまでに三件の施設を経由した。また列だ。長い列に並んだ。泥の血液みたいに橙色をした酒を飲んだ。腹やら背やらにどかどかと大砲が貫通していく。骨を砕く振動や波紋に触った。
僕は充電が一桁になった携帯電話をポケットの中に入れていた。6Pチーズ型の螺旋階段。ポケットの裏で通知を知らせるLEDライトの点灯が闇の中で蛍みたいだった。