頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

受付業務。
その日予定している約一時間刻みに配分された催事のスケジュールとその内容を常に念頭に置いて、そいつをベースに案内、行動、協力をする。客の顔を見て名前を覚える。客ごとに要件が違うので要件の内容も合わせて記憶する。それをもとに各所に誘導する。所定の操作、所定の案内。案内、案内、案内。どの客が誰でなんの要件で、いつどう動いたか常に把握し目配せする。記憶。観察。「思い遣り」。終日百人前後の客相手以外に、内部業者とのやり取りもする。品物や料金受取の手続き。業者呼び出しの手続き。内部事情の確認、伝達。人の出入りが激しい。接客の合間に片付けや清掃の類もする。客には無礼のないよう親切に。わかりやすく。丁寧に。善意を持って。客の見分け方で混乱する。予約の客か、当日の客か、別部署の客か、別部署の予約の客か、それ以外か、この客は今来た客かさっき見た客だったか……さっき見たけどさっき見たどの名前でどの要件の客だったっけ……。
疲れる。
疲れた。
もう嫌だ。
神経がピリつく。
クソが。
業務内容を都度都度、別々バラバラの同僚から、入れ代わり立ち代わり教え込まれながら、それに従い動く。事前に教えられていたマニュアルでも、いざ状況を目の前にするとどう対応するのが最適解なのか判断できずテンパる。まず状況把握が追いつかない。失敗してはじめて、その後でああすればスムーズだったのかと理解していく。意味不明だが、失敗するまではどう動くのが最適か判断する力が機能停止している。決まった一定の動作を繰り返すだけの対応以外は全部そう。でも決まった一定の動作だけの内容でも修正点が多い。たぶん最適解も本来は決まった一定の動作で構成されてはいるんだが。最適解。もっともそれらしいパターン行動にたどりつくまでに時間がかかる。真似るべき同僚の動きが、状況把握に至るまでの間はただただ不規則で複雑な行動にしか見えない。状況把握。伝え聞くだけではリアリティのない他人事の情報としてしか処理されないから、実際に情報通りの場に出くわさないとなんのことを言ってるのやらさっぱり。そういう情報が山とある。なにこれ。淡々と簡単なルーティンで一つのことを処理し続ける雑務に癒やしを感じる。でもそれだって人の中にいるという苦痛からの逃避的癒やし効果であり、長時間やっていれば……。
ああそうだな、この疲れを、この「嫌」な感じを乗り越えて経験を踏めば、身になるだろうさ。で身になったからなんだっていうんだ。なんでこんなことしてるんだ僕は。
できたからなんになるんだって?金になるんだよなぁ!
金なんかいらねえんだよ。金なんかなんだっていうんだ。
自立の一歩、生活の維持に。
生活の維持がなんだっていうんだ。そんなもの維持してなんになるんだ。クソ。クソクソクソ。
つーかこんな超だるい仕事するなんて聞いてねえよ。清掃!清掃希望だっつったろ僕は。
疲れた。寝る。