頭の隙間のダイアログ

日記。筆記開示。オートマティズムの精神。自己対話。

朝方近くまで興奮しながら起きていて、それから寝て、昼過ぎに目を覚ます。

ベッドの中で唸って、窓の外の明るさ、心臓の動く速さや、眠気の感覚を確かめて、朦朧としながら二度寝する。

霧がかかったように眠い。

15時過ぎに起きて、なんとか行動を起こそうと、体を起こし、頭と顔を洗い、バナナをかじり、着替えて、荷物を持って、外に出る。

営業終了ギリギリになって職業斡旋所に着き、端末で仕事を探す。30分かけて1件分の求人をピックアップする。相談コーナーで、面接の進め方を聞いて、帰る。

少しも物事が前進していないが、一日中ひきこもっているよりはマシだった。

頭がふわふわして、うまく物が考えられない。

もともと考えることは苦手だ。

考えていることを言葉にするのは難しい。

なにか大きな雲のような気体、または流れていく液体、おおもとの塊が頭の中にはあって、それが固体になるまでにかかる時間、その長さに波がある。

掴みどころがない。

なにかをきっかけにすれば、なにかとっかかりを得られれば、言葉になる。

なにを考えているんだっけ?

仕事。

仕事?

なにか自分を責めるようなことだ。

「こんなのでやっていけるのか?」みたいな。

常識、社会構造を知らなさすぎる無知への非難、ナメているし、なまけているし、要領が悪い、そういうことを責める意味の内容。

うるせえよ。邪魔をするな。

盗むことと、背伸びをすることについても考えていた。

盗む。

労働をしない僕は盗人だ。物は労働をする人同士の間で生まれ、労働をする人同士の間でやり取りされる。労働をしない人間が入っていって、物を得ようとするのは窃盗だ。労働は対価で、僕は対価を支払っていないから。僕は親の金を吸い上げて生きている。なにひとつ対価を支払わずに物を得ようとするのは道理にかなっていないと思う。でも僕は労働をしたくない。僕の労働へのイメージは歪んでいる。取り上げられ、使い捨てられる、言葉が通じない世界。奴隷市場。そんな場所に一秒だっていたくはない。

背伸びをする。

僕は、今いる世界以外の世界に憧れを持つ。そこへ行ってみたいと思う。それが背伸び。格好をつけることや、分不相応な振る舞いをすることは、揶揄され槍玉に挙げられがちだと思う。それは、背伸びがコスプレ的な行為だからなんじゃないのか。現在地点から離れた場所にある世界の文化を装おうとするのは、おかしなことのように見られる。「らしくない」逸脱行為。まあ、知ったこっちゃない。僕の勝手だ。

自分の理解のレベル、物事の、自分自身への理解度が浅いことを痛感して、打ちひしがれる。

なんとなく好き、なんとなく嫌、なんとなく面白いなんとなくつまらない、全部なんとなくだし、理由はない。それを説明できない限り、人からの理解も得られない。自分で自分を理解していなんだから、当たり前だ。

理解を得て、それで?

それで、それで……話ができる。

話をしたいの?

話をしたいのかもしれない。

孤独は、楽で、美しく、なににも替えがたい癒やしであり、永遠の理想郷だよ。そこでなら僕は緊張せずにいられ、なににも気を張らず、気を使わず、思う存分感情を、感覚を味わい尽くせる。

でも、後ろめたい。人は、人の間で生きる。自分が人の間にいないことが後ろめたい。もっとうまくやれたらいいと思う。要領よく器用に、自分の得たいものを得て、不要なものは避けて、現実に実態のある城を築けたらいいと思う。でも、いらないものが多すぎる、それで、人の間にはいられない。毒にも腐肉にも食らいついていき、獣のように生にしがみつくエネルギーを持っていない。

羨望と、劣等感。